NEMに投資しなかった理由

2016年にビットコインに投資をした後、しばらくしてNEM(ネム)の存在も知りましたが、NEMには一切投資しませんでした。

今回はその理由を記載したいと思います。

NEM(ネム)に投資しなかった理由は2つ、

  • NEM(ネム)が「金銭的な自由、分散化、平等」を理念に掲げているにも関わらず、その供給方法があまりに不公平だったから。
  • 結局はたくさんコインを保有している人が有利な仕組みであることが否定できなかったから

 

ビットコインは富が偏っていて不公平ということを言う人をNEM支持者の中に良く見かけますが、「NEMを勧める人がそれを言うのかよ」というような状況で、ちゃんと調べてみるとビットコインの供給方法の方が全然公平です。

ビットコインの供給方法とNEMの供給方法の比較

NEM支持者が指摘するようにビットコインにも確かに富の偏りが存在しますが、それでもビットコインの供給方法はNEMの供給方法に比べれば明らかに公平性が高いです。

供給方法の公平性ということで、金銭的な自由、分散化、平等を謳うNEMの供給方法とビットコインの供給方法を比べてみましょう。

NEMの供給方法はあまりに不公平

ネム

金銭的な自由、分散化、平等を謳うNEMの供給方法がどんなものであったか見てみましょう。

NEM(ネム)で発行される仮想通貨はXEM(ゼム)で、その総発行枚数は8,999,999,999XEMです。

このXEMが最初どのように配布供給されたのかというと、希望したおよそ1,600人の投資家に均等に分けられました。

しかもこの1600人というのは正確にはメールアカウントの数ということで、実際には1人が複数口のXEMを受け取っていた可能性も十分にあります。

分散化、平等とは程遠いNEMの配布方法

この8,999,999,999XEMを1600人で割ると何XEMになるでしょうか?

一人あたり562万5000XEMとなります。

一人あたり560万XEMという独占状態です。

ここの数字は違うようですので、訂正します。

ただ色々検索してみてもざっくりとした数字さえ出てこないので、この初期の分配で最大1600人の投資家に何XEMを分配したのか、その分配方法がどれだけ「平等という理念に合致するもの」だったのかを、是非示して欲しいと思います。

自分がNEMが好きになれなかった理由がこれで、NEMでは「金銭的な自由、分散化、平等」といういかにも理想的なことを掲げているにも関わらず、その配布供給方法は最大で1600人という世界人口72億人の0.00002%という限られた人にすべてのNEMを一度に配ってしまったことです。

0.00002%が100%のNEMを持っている状態です。

これのどこに分散化と平等の理念があるのか?

なぜかNEMを批判しないような空気がありますが、完全に言っていることとやっていることが矛盾していると感じているのは自分だけではないはずです。

このあまりに不公平過ぎる分配方法を見て、自分はNEMに投資しないことを決めました。

批判を恐れず言えば、NEMはこの1600人の人を幸福にするためのコインで、その供給方法には「金銭的な自由、分散化、平等」など欠片もないと感じています。

結局は残高に重きを置くNEMの仕組み

ネム不労所得

ここでNEM支持者からの反論として、最初の供給方法は明らかに不公平だが、NEMはPOI(プルーフオブインポータンス)を採用しており、NEMのネットワークに貢献した人程ハーベストに成功して報酬が得られる確率が高くなるように作られているという反論が出てきそうですが、POIスコアの大部分がコインの残高により占められているという事実を考えると、その指摘もどうなの?といった感じです。

【追記】NEMの仕組みPoIはPoSの改悪である

数式を読み解くことで分かるNEMがPoSの改悪であるという事実

NEMが採用しているPoIがPoSの改悪であることを数式を読み解いてツイートした人がいます。

 

これについてはNEMのコミュニティでは有名なトレスト氏もNEMのPoIがPoSの改悪であること認めています。

まあ、きっとトレスト氏は、PoIがPoSの改悪であるという事実を既に知っていたとは思いますが、指摘されるまで隠す(触れない)ところにこのコニュニティーの闇があるのでは。

トレストNEMは改悪認める

NEMがPoSの改悪とは知らずに購入している人が多数

そして、さらにNEMのPoIがPoSの改悪ということを知っているかということについて、アンケートを取っています。

NEMがPOSの改悪=PoSよりさらに富める者がより富む仕組みだと、知らない人が多数という結果。

こういう事実を知らずに善意でNEMを応援しようとNEMを購入した人達を騙すような行為には感心しません。

理念に掲げている平等とは、真逆のことをしているところがNEMへの不信感を増大させます。

 

また300万XEM以上保有している人はスーパーノードとなることができ、毎日300XEMの不労所得が入ってくるとのこと。

今のNEMのレートが100円だとすると、毎月90万円程の不労所得が貰えるとのこと。

まあ自分が300万XEM以上保有していれば、美味しすぎる仕組みであることは分かるが、持っているだけで不労所得が入ってくる人がいるということは、それを支える人たちが必要なはず。

この「金銭的な自由、分散化、平等」を掲げるNEMの先行者利益が余りにもデカ過ぎて、こんな仕組みを採用しているものに後から参入する気にはとてもならない。

NEMではこのスーパーノード報酬が超お得ということで、NEMを最初に手に入れた人は今でも300万XEM以上保有しているはず。

そう考えると、現状でも凄まじい偏りが存在していることは想像に難くない。

NEMは必ず暴落する

ネムももう用済み

NEMのこのスーパーノードのインセンティブは有限ということで、数年以内にこのスーパーノードのインセンティブが無くなるらしい。

このスーパーノード報酬についてですが、スーパーノードへの報酬である300XEM/日は、財団のファンドから日々支給されているということで、クリプトストリームさんによると

スーパーノード報酬を支払うためのファンドは2つ存在し、

2018年1月25日現在、残高(A)は128,583,866.980000XEM です。

2018年1月25日現在、残高(B)は2,180,181.950100XEM です。

(A)+(B)の合計がスーパーノード報酬の残高(C)となり、

(C)130,764,048.930100XEMとなります。

1日のスーパーノード報酬の予算は140,000XEMで、最新(2018.1.25)のスーパーノード報酬の単価は313.15XEMでしたのでおよそ447台のスーパーノードが審査にパスをしたことになります。ちなみにNEM Node Rewardsでは現在500台ほどが存在すると示されてます。

(C)の合計を1日の予算140,000XEMで割ると、およそ934日となります。

これを今日から計算すると、

2020年8月16日頃にスーパーノード報酬は枯渇

することになります。

NEMのスーパーノード報酬はいつ枯渇するのか?|CRYPTO STREAM

とのことで、ファンドが保有している約1億3000万XEMが、今後450~500台のスーパーノードに報酬として割り当てられるとのことです。

仮に500台のスーパーノードが維持されるとして、ファンドが保有している1億3000万XEMを500で割ってみると26万XEMとなり、1つのスーパーノードが2020年8月16日までに26万XEM受け取ることになります。

現在この1600500人はスーパーノード報酬で毎日うまうまだが、その人達の多くはNEMを不労所得マシーンとして利用しているだけであろうから、スーパーノードの旨みが無くなれば持っているNEMの大半を売るのではと考えています。

なので、まあ分かりきったことだが、このスーパーノードのインセンティブが無くなる少し前からNEMには大量保有者による大量の売りが出ることは、多くの人が危惧していることです。

この圧倒的なインセンティブが無くなれば、NEMを持っている意味がほぼ無くなるので、大量の売りが一斉に出るはずです。

そうなれば、NEMがどこまで落ちるのか、すごい暴落となるのではないでしょうか。

どうせ今からNEMを購入するような人はスーパーノードになれないのに、数年以内に大暴落するであろうNEMを購入する意味ってあるのかどうか?

NEMへの投資を考えている人はこの辺のことを良く考えてみてから投資した方が良いです。

公平な供給方法

このNEMの供給方法を棚に上げてビットコインを批判しているNEM支持者がいますが、まあそれは良しとして、公平な供給方法とはどのようなものか考えてみましょう。

自分が重視しているのは機会の平等です。

  • 一つは一度にすべてのコインを供給してしまわないこと
  • もう一つは長い期間に渡ってずっと供給し続けること

 

この2つが重要で、長い期間に渡って徐々に供給することにより、多くの人々が手にする機会が生まれます。

資本主義とはそもそも平等ではないですが、機会の平等は大切です。

それはなぜかというと、人によって情報を取得するまでには時間差があるので、ある時点で一度に供給してしまうと、ある時点までに情報を得た人だけが独占してしまう状態となり、後から知った人がそれを欲しいとなると、それを持っている少数の人が提示する高値でしか購入できなくなってしまいます。

これがもし多くの人が持っている状況になれば、自然と値幅が生まれ選択肢は広がりますので、公平性が高くなります。

ですので、当たり前のことですが、多くの人が手にできるような供給方法を取る方が公平性が高いです。

ここでビットコインの供給方法を見てみましょう。

ビットコインの供給方法

ビットコインは2009年の誕生以来供給され続け、2033年頃までに99%のビットコインが供給される見通しです。

ビットコインの発行枚数推移

ビットコインの供給枚数は4年毎の半減期により徐々に減っていく仕組みになっています。

当初、ビットコインは約10分毎に50BTC供給されていましたが、2回の半減期を経て現在は約10分毎に12.5BTCが供給されています。

供給量は徐々に減っていきますが、それでも一度にすべてを配分してしまう方法と比べれば、こちらの方が断然公平性は高いです。

この新規のビットコインが長く市場に供給されることにより、短期的な暴騰があっても新たな供給が価格を抑える効果となりますので、ビットコインを公正な市場価格で購入する機会が長く与えられます。

まとめ

ということで、ビットコインにも富の偏在は存在しますが、PoSやPoSの改良改悪型コインに比べればビットコインの供給方法は公平性の高い供給方法です。

富の偏りについても公平性の高い供給方法の中で生まれたものであり、また他のコインに比べればその偏りも小さいと考えています。

そして、日本ではNEMは単価が安く買いやすいことで人気のコインですが、どのコインが主流となるかを決めるのは日本人だけではなく世界中の人々なので、この不公平な供給や少数の人に対する不当に高いインセンティブに対して世界中の人々がどのように考えるのか、この辺は注視が必要です。

また「プラットフォーム型ではなく通貨型に投資する理由」でも記載しましたが、NEMとイーサリアムの機能が被っており、世界ではプラットフォームとしてイーサリアムが主流です。

ここも現在の仮想通貨市場が投機の段階から実需の段階へと移行した時、NEMにどれだけの需要があるのか、そこがNEMの正念場となるでしょう。

【追記】イケハヤ氏の反論に対する私の見解

NEMにたくさん投資しているイケダハヤト氏よりこちらの記事に対する反論がありました。

反論自体がNEMにもリッチリストがあり、そのリッチリストの上位がNEMのファンドだから不公平ではないとかそういう内容でしたが、私からすれば「え、リッチリストの上位がファンドだからって、そのことをもってNEMが平等ということにはならないよね」という内容でしたが、そのイケハヤ氏の反論に対する記事をさらに追加しました。

是非こちらの「莫大な先行者利益とNEMの掲げる平等」の記事もご覧ください。

 

以上、最後までお読みくださりありがとうございました。