莫大な先行者利益とNEMの掲げる平等

先日NEM(ネム)について批判的な記事を記載したところ、NEMにかなり投資しているというイケダハヤト氏のブログで取り上げられていたので、再度触れたいと思います。

NEMについて問題提起した理由

そもそもですが、私がNEMについて問題提起をしたのは、NEMが「金銭的な自由、分散化、平等」という理念を掲げていたからです。
これを掲げていなかったなら、そもそもこんな問題提起はしていません。

私の問題提起の始まりは、NEMが掲げる理念に対して、「言っていることとやっていることが違くない?」ということからです。

イケダハヤト氏の反論

下記はイケダハヤト氏からの指摘

たぶんこの人リッチリスト見てないですよねw 上位のアカウントは財団のファンドですからね……前提から勘違いしてそう。

 

「SN報酬が枯渇すると暴落する」みたいな話に関しては、トレストさんも書いてるとおり、何らかの対応が練られるでしょう。

こういうところを一緒に議論して考えていくのは楽しそうですね。どういうインセンティブがあればいいかな……。

SNとしては、いずれにせよXEMの価値が維持・発展していくために行動することになると思われるので、仮に報酬が枯渇しても、彼らはNEMネットワークのために貢献するんじゃないでしょうかね。

「SN報酬ゼロだから全部売っぱらう!」みたいなノードはかなり少ないと思うけれど……。ぼくも割りと持ってる方ですが、そこに関しては特に心配してません。

 

PoW原理主義みたいな人は多いですが、イケハヤは長期で見るとPoSが主流になると考える派です。

PoSの設計は今から練られていくフェーズなので、この段階でどういうこういうのはそもそもズレてますね……。

もう少し長い目で見ないと何がどうなるかはわかりませんw

NEMの初期分配は「不平等」なのか?|まだ仮想通貨持っていないの?

リッチリスト上位構成とNEMが平等かどうかは別の話

まずは、ご指摘の通りNEMにもリッチリストがあったのは、知りませんでした。

ただ始めに指摘しておきたいのは、リッチリストで上位10位くらいまでのアドレスの多くがNEMに関するファンドだから=最初の分配が平等だったということにはなりませんし、ましてNEMが平等ということにもなりません。

 

リッチリストを見てみると、確かにリッチリストの上位12位くらいまでは、取引所であったり財団のファンドであったりのようです。

ネムリッチリスト

この上位12位を取引所やファンドに分けてみるとこうなります。(2018.1.28日のデータより)

 XEM 総発行枚数における%
ファンド保有分 3,533,586,665  39.2%
取引所保有分 954,314,192  10.6%

これ見てビックリしたのですが、未だにファンドが全体の4割近くのXEMを持っているんですね。

このファンド内のXEMの多くが、NEMの開発等の資金に充てられるんですかね。

これは、開発費としては多すぎるような気がしますが・・・。

あとはファンド内の資金の一部、約1億3000万XEMはスーパーノード報酬のためのものとのこと。

下記はクリプトストリームさんより、

スーパーノード報酬を支払うためのファンドは2つ存在し、

2018年1月25日現在、残高(A)は128,583,866.980000XEM です。

2018年1月25日現在、残高(B)は2,180,181.950100XEM です。

(A)+(B)の合計がスーパーノード報酬の残高(C)となり、

(C)130,764,048.930100XEMとなります。

1日のスーパーノード報酬の予算は140,000XEMで、最新(2018.1.25)のスーパーノード報酬の単価は313.15XEMでしたのでおよそ447台のスーパーノードが審査にパスをしたことになります。ちなみにNEM Node Rewardsでは現在500台ほどが存在すると示されてます。

(C)の合計を1日の予算140,000XEMで割ると、およそ934日となります。

これを今日から計算すると、

2020年8月16日頃にスーパーノード報酬は枯渇

することになります。

NEMのスーパーノード報酬はいつ枯渇するのか?|CRYPTO STREAM

同じことの繰り返しになりますが、自分が指摘したかったのは、NEMが掲げている「金銭的な自由、分散化、平等」、「主に分散化と平等」という理念に対して、NEMの最初の分配方法及び、300万XEM以上という既にNEM大量保有者への高額なスーパーノード報酬が、NEMが掲げる理念に反しているのではないかというものです。

この最初の分配方法に関しては、情報がないか色々調べてみたのですが、1600人の投資家に何XEMが割り当てられたのか、ざっくりした数字も出てこないため「不公平だったのではないか」ということしか分かりません。

この辺は是非、NEM側からこの最初の分配方法はNEMの理念に掲げた通り、こんなにも平等なものであったという根拠を示して欲しいところです。

スーパーノード報酬の枯渇と暴落に関して

次にスーパーノード報酬の枯渇と暴落について、イケダハヤト氏の意見では

「SN報酬が枯渇すると暴落する」みたいな話に関しては、トレストさんも書いてるとおり、何らかの対応が練られるでしょう。

こういうところを一緒に議論して考えていくのは楽しそうですね。どういうインセンティブがあればいいかな……。

SNとしては、いずれにせよXEMの価値が維持・発展していくために行動することになると思われるので、仮に報酬が枯渇しても、彼らはNEMネットワークのために貢献するんじゃないでしょうかね。

「SN報酬ゼロだから全部売っぱらう!」みたいなノードはかなり少ないと思うけれど……。ぼくも割りと持ってる方ですが、そこに関しては特に心配してません。

とのこと。

さらにクリプトストリームさんの意見も見てみると、

スーパーノード報酬が枯渇した後は、トランザクション手数料の一部がスーパーノード報酬に充てられる予定となっています。あくまで予定です。

その時にネットワークがあまり潤ってなければ(潤う=XEM利用機会が増え手数料が増える)、スーパーノード自身が得るハーベスト報酬と合わせたとしても、スーパーノードを維持するメリットがファンドからの報酬を得ていた頃と比べてあまりないんじゃね?となる可能性はあります。

ただ、これはもしXEMの市場価値が大きく飛躍していたならばその考えはまた違ってくるかもしれませんし、現在のファンド報酬より金銭的メリットは下がっていても、NEMのネットワークを維持したい使命感が働く人もいるでしょう。

枯渇したらスーパーノード解体が発生し暴落を起こすというのは、非常に短絡的で薄っぺらいシナリオではないかと思います。

しかし、もしも2020年の枯渇時期が近くなっても、もう全然NEMのネットワークが潤ってなくて市場価値もさほど飛躍しておらず、このままではスーパーノードにメリットがなく一斉解体が危険であると判断されたなら…?

あくまでも個人的な発想に過ぎませんが、例えば、サステナビリティファンドの別の項目から予算を移して、スーパーノード報酬を一定期間延長するなんてこともあり得るのでは?と思います。

とのことです。

NEM長者への更なるインセンティブを支払う、平等の理念は?

ここでどちらもスーパーノード報酬が枯渇してしまった際には、スーパーノード報酬に対して新たなインセンティブを与えるような意見が書かれていますが、既にNEM長者となっている人へ更なるインセンティブを払い続けることのどこに平等の理念があるのだろう。

こんなことをし続けていれば、富める者がより富む仕組みと思われても仕方がないかと。

自分の意見は、既にスーパーノードとなっている人に毎日300XEM、NEMのレートが仮に100円だとすると、毎月90万円という圧倒的なインセンティブが払われている現状があって、その高額なインセンティブがなくなった後にこのNEM大量保有者達の大量の売りを起こさせないとなると、その後も相当な高額なインセンティブを払う必要があると考えています。

それ程人間は、お金や欲に対しては正直に動くでしょうし、基本的に投資をしている人の目的はお金なので、その多くは利益によってのみ動くと考えています。

ですので、大量の売りが出るのは覚悟して、スーパーノード報酬という「富める者がより富む仕組み」を早めに断ち切ることがNEMの平等という理念を考えると良い選択なのではないかと思います。

最初の分配の段階が大切なのでは?

次にイケダハヤト氏の意見では

PoSの設計は今から練られていくフェーズなので、この段階でどういうこういうのはそもそもズレてますね……。

もう少し長い目で見ないと何がどうなるかはわかりませんw

とのこと。

イケダハヤト氏は結構NEMを保有しているということで前向きですが、自分はやはりこの最初の段階=富の分配の段階が大事だったと考えていて、NEMが平等と分散化を理念としているならば、やはりこの最初の分配方法は間違っていたと考えていますし、その後の既に巨万の富(XEM)を持っているスーパーノードに対する圧倒的なインセンティブ(スーパーノード報酬)も間違っていると考えています。

後からはとても参入したくないNEM経済圏

個人的には、機会の平等が担保されずにできた圧倒的格差が存在する経済圏に後から入ろうとは思いません。

これはかなり重要で、後から参入する人がいるからその経済圏は成り立つのであって、そういう人がいなければ経済圏は成り立ちません。

NEMの嫌いなところは、努力に見合わぬ圧倒的な先行者利益

NEMの嫌なところは、「金銭的な自由、分散化、平等」という理念を掲げているにも関わらず、凄まじいまでの先行者利益が存在するところ。しかもこの先行者利益を得るために凄まじい努力を伴ったかというとそういう訳ではなく、ある時点でNEMを知っていて投資したかどうかというもの。それだけの理由で圧倒的な経済的格差が存在するNEM経済圏に、後からNEM貧民として入りたいかと聞かれたら、入りたくないです。

自分は機会の平等がある程度保たれ、それ相応のことをした=努力やリスクを取った人が裕福になる経済圏に参加したいです。

NEMの格差は受け入れ難い

資本主義にも先行者利益と格差が存在しますが、機会の平等がある程度確保された上で、その人の努力に応じてある程度長い時間をかけて作られたものだと考えていて、NEMのようなある時点でNEMのことを知り投資した人が圧倒的有利という状態と比較すると、NEMの格差は受け入れ難いものがあります。

機会の平等があまりにもない状態及び、この努力にあたる部分とそれに対する報酬の部分が資本主義と比べてあまりにも乖離した状態で、「金銭的な自由、分散化、平等」という理念を掲げるNEM。

NEMでは富める者とそれ以外の者を努力やリスクに見合わない形で短期的に作ってしまったと考えていて、この状態で「うちの経済圏に参加しませんか」と言われても、今からはとても参加したくないというのが自分の答えです。

自分の考えまとめ

資本主義経済の中で、国毎の単一通貨ではなく価値が変動する新たな通貨が誕生するということは、資本主義経済の中で新たな経済圏が生まれるということです。

そうした中、先行者利益を持つ全員が先行者利益を持っている仕組みの中に人々を誘導したいと考えるのは、経済的に当然のことです。

なぜなら、先行者にとっては既にその経済圏では自分が大金持ちだからです。

 

しかし、ここで人々が後に続くかどうかは機会の平等、努力やリスクに基づく報酬が妥当なものかどうかといったことが大切になると思います。

ここに圧倒的な不公平が存在しては、人々は後から続こうとは考えないはずです。

そういう意味では、NEMの最初の分配方法やその後のスーパーノード報酬による巨大な格差は、失敗だったと思っています。

ただ私はNEMの理想やPoIという考え自体は個人的に好きです。

ですので、この理念に沿うようなNEMを是非作り上げて欲しい、そういうNEMに生まれ変わるのなら、是非NEMを応援したいと思います。

NEMマスターへの疑問あれこれ

ここでNEMマスターに色々質問したいと思います。

是非NEMに詳しい方に教えて欲しい。

実際にNEMの初期分配はどんなものだったのか?

色々調べてはみましたが、答えが出てきません。

ここが自分のNEMへの不信感に繋がってしまっているので、最初の分配方法が希望したおよそ1600人の投資家に均等に分けられたというところで、総額何XEMが1600人の投資家の人に分けられたのか、これがNEMの掲げる理念通り「分散化と平等に則したものだったんだよ」ということを是非示していただきたいです。

機会の平等は必要だったのではないか?

NEMが「金銭的な自由、分散化、平等」を理念として掲げるなら、1600人の投資家で分けたので、後はその人達から買ってくれというやり方ではなく、機会の平等が必要だったのではないかと考えています。

自分は限られた人に一度に配るより、長い期間供給し続けるようなPoWがとっている方法の方が平等だと考えていますので、ここも是非いやそんなことはないという根拠を示して欲しい。

ここの供給の公平性のところは、「私がNEMに投資しなかった理由」の公平な供給方法で述べておりますのでそちらをご覧ください。

スーパーノード報酬は妥当な金額なのか?

スーパーノードに対するインセンティブって妥当な金額なんですかね?

NEMのスーパーノード=サーバーの維持費及びネット回線ってそんなに維持費がかかるんでしょうか?

この辺もあまりに高額な報酬を提供し続けてているのであれば、それはNEMの掲げる理念に反するのではないでしょうか?

このインセンティブが大きすぎるのであれば、それはNEM経済圏の格差拡大を助長しているのではないのかと思いますがどうなんでしょう。

機会の平等が担保されない経済格差に後から人は参入してくるのか?

自分は機会の平等が担保されずにできた巨大な経済的格差が存在する経済圏に後から参入することはできればしたくないです。

資本主義でも巨大な格差の中で、嫌と言うほど搾取されてきましたので。(但し機会の平等がある程度担保された資本主義には肯定的です。)

この辺どのような方策を考えているのか?

以上、最後までお読み下さりありがとうございました。