POWとPOSあなたはどっち派

以前「Proof of Stakeに対する見解」ということで、Proof of Stakeに関してビットコイン業界では有名人のビットコイン&ブロックチェーン研究所代表兼(社)日本デジタルマネー協会理事兼(社)日本ブロックチェーン協会アドバイザーである大石氏に質問することができましたので、その時の内容を記事にしましたが、今回はProof of Work派の大石氏とProof of Stake派の逆タヌ神氏がお互いの主張を議論しておりましたので、これは興味深いということで紹介したいと思います。

PoWとPoSの主張と議論

この話の発端は、Bitcoin投資研究所所長のMiningFOX氏が、エコノミストの浜矩子氏の「仮想通貨は仮装通貨がピッタリくる」と発言したのを取り上げたのが始まりです。

それに対して、

大石氏 仮想通貨を架空のものに値段が付いている、つまり詐欺だと、理解する経済学者の気持ちも分からなくも無いと思った。
PoWなど現実のリソースと交換であることがわかれば意見を変える学者もいると思うけど、そこまで理解できていないのだろう。
一方、私にはPoS通貨は架空のものに見える

PoW・PoS議論1

大石氏 つまり浜矩子などの経済学者は、暗号通貨はPoS通貨みたいなもので、無からなんの代償もなく作られたもので、値段は幻想のようにつけられているから、詐欺だと言っているのだろう。
とすれば、本当に真っ当な指摘だとしか思えないわけです。

PoW・PoS議論2

 

逆タヌ神氏 ちなみにPoWでダストコインになっていった通貨達をどうお考えですか?
コンセンサスメカニズムだけで一括りにするのは思うところがあります。
IXCOIN失敗例はコンセンサスとは関係なく、コミュニティやネットワーク効果の狭さが問題と考えると(むしろ最重要)PoSも可能性があると考えます

PoW・PoS議論3

 

大石氏 PoWでも使い道やコミュニティーなどの裏付けがなければ、ダストだというのはその通りで、つまり(PoWは)必要条件の一つという主張です。

PoW・PoS議論4

 

MiningFOX氏 いわゆる第一世代のPoSコインというのは価値が無いと思っていますが、プラットフォーム系のNXT(ネクストコイン)、Bitsharesなどは、プラットフォームを安定して維持するためのノード(ネットワークを接続中継する端末)インセンティブと考えるとPoSの意味があるように思うのですが、どうなんでしょう?

PoW・PoS議論5

 

大石氏 NXT(ネクストコイン)やBitsharesは、純粋に通貨ではなく、付加機能があるように思えて、付加機能の利用料の範囲ではPoSは成り立つと私も考えています。
ETHもコンピューティングの提供と考えるとそうなります。
Bitcoinが仮にPoSだとすると送金手数料相当分のみ。

PoW・PoS議論6

 

MiningFOX氏 Bitcoinともなるとボランタリー(自発的な活動)でNodeの維持が成り立つでしょうが、弱小アルト(アルトコイン)がそれなりに分散ネットワークを維持しようとすると、PoW+PoSハイブリットが現実的に価値を見出せる線かなと。
そういう意味でアルトのPoW+PoSはありかなと思ってます

PoW・PoS議論7

 

逆タヌ神氏 PoWは手っ取り早く通貨の価値(価格)を採掘コストを引き換えに最初に与えますが、掘りつくされた後のネットワーク維持は手数料として支払われる通貨価値に強烈に依存するので、問題を先送りしているだけのように思えてなりません。
PoSは最初からその問題に直面しているので、維持しやすい気も

PoW・PoS議論8

 

MiningFOX氏 PoWの供給カーブと実際の需要がうまくバランスが取れていけば、価値ネットワークを維持できるように(ビットコインの価格が)上がって解決されるというのがPoWの想定するところなんだと思いますが、この設計次第というところなんでしょうかね?

PoW・PoS議論9

 

大石氏 PoWが掘りつくされた後の問題をPoSが先行しているというのは、確かにそうかもしれませんね。
PoSでもネットワークの維持ができないとは思わないです(コスト低いですから)。

PoW・PoS議論10

大石氏 NAGEほげとか、NOA(ノアコイン)とか、ああ言うのみたいなコインがあって、価値の裏付けのないコインがプレマインなり、PoSで、なんの犠牲も払わず発行されます。
しかし、泉(泉忠司=先日詐欺認定されたノアコインを強烈に宣伝していた人)信者が強固にそれを信じて、共同幻想が生まれて実際に流通したとする。
それは価値があるのか、それともScamか・・とか

PoW・PoS議論11

 

逆タヌ神氏 Scamの温床になるのは間違いないですね。
なので、ICOのトークン銘柄含めて最初は完全無価値だと思います。
売り出しはクズ価格で良いはずで今がバブル
ただクズ価格で始めたNXTにせよ、NEMにせよ、最初の配分に問題があると(高騰してから)文句言う人が多い。
そこに至るまでの労力は評価ゼロ

PoW・PoS議論12

 

逆タヌ神氏 一番平等な発行方法は現時点ではPoWだとは理解していますが、それでもやはりPoSはScamと一括りにしてしまうのは・・・
色々な考えがあって良いとは思いますが、やはりコンセンサスではなく本質的なネットワーク効果や付加価値などが伴えば使われるはずだと思います。
ripple含めて。

PoW・PoS議論13

 

大石氏 付加価値がないPoSはScamということかなと思います。
では何が付加価値かというと、みんなが使っているというネットワーク効果は、それほど付加価値でもない気がしています。
このあたりは明確なロジックになっていませんが

PoW・PoS議論14

 

逆タヌ神氏 なるほど。そこですね。
ネットワーク効果に価値や価格を見出すかどうかが大石さんとワシの考え方の違いかもしれません
仮にADA(エイダコイン)がマルチ勢の中でネットワーク効果を発揮してもワシも認めたく無いですがwww

PoW・PoS議論15

 

大石氏 ADA(エイダコイン)やNAGEZENIを多くの人が使い始めたら、Scamではなくなるのか?
という議論がまさにそれな気がしてまして、それの究極の形が不換紙幣だと思うんですよ。
だから、仮に純粋にPoS通貨があって、ネットワーク効果でみんなが価値あると信じた場合、紙幣の再発明と思います。

PoW・PoS議論16

大石氏 デジタルペーパーマネー(みんなの幻想による)

PoW・PoS議論17

大石氏 もしかしたら、(みんなの幻想によるデジタルペーパーマネー)そういうことも起こり得るかもしれないんですが、ペーパーマネーへの疑念点がそのまま継承されると思うので、私はビットコインの方を使うと思います。

PoW・PoS議論18

大石氏 PoSマネーにネットワーク効果、(みんなが使う、信じる)で価値が生じたとすると(生じることもあると思いますので、それは否定しない)、紙幣に価値があると思っている(みんなが信じる)と、何が違うのかということです。

PoW・PoS議論19

大石氏 ペーパーマネーシステムはおかしい(Scam)と言うのが私の立脚点なので、ペーパーマネーと同じ仕組みで価値を生み出すコインはScamだと思うというのが、PoSがScamという話の間にある数々のロジックをちゃんと表現するとそんな感じです。

PoW・PoS議論20

 

ということで、ここまでの議論をまとめたいと思います。

同意していた点、異論がなさそうな点

  • PoWであっても開発者がいない、付加価値がない、中身がないものは無価値
  • PoWが掘りつくされた後の問題をPoSが先行しているのではないか
  • PoSでもネットワークの維持ができる
  • 一番平等な発行方法は現時点ではPoW
  • PoSに対しても付加価値のあるものに関しては、その利用料の範囲では一定の価値があるのではないか

 

意見が分かれていた点

  • ネットワーク効果に価値を見出すかどうかが二人の意見の分かれるところ
    ただみんなに使われている、みんなが使っている(ネットワーク効果)=価値があるということに関しては、どちらも否定的
    理由は、詐欺コインであるADA(エイダコイン)やNOA(ノアコイン)が使われ価値の共同幻想が生まれても詐欺コインは詐欺コインであり、価値は幻想だから。

 

さらにこの後、大石氏が整理して、まとめてくれています。

大石氏のまとめ

大石氏 もう一回頭の整理をすると、仮想通貨的なネットワークには、
・ネットワークが提供する機能(送金、計算、証明など)の価値と
・その上で流通するトークンなどの価値の2つがあると思っていて、これは分離して考えることができるのではないか。
後者は例えば、CP(カウンターパーティー)トークンなど

PoW・PoS議論まとめ1

大石氏 それで、ビットコインというのは、分かり難いが2つの価値があり、
・ネットワークが提供する機能=送金=送金手数料ほどの価値
・BTCの価値の貯蔵としての機能=PoWにより創造
というのがあるのではと。2つの価値が一つの仕組みで成り立っているのが面白いところ

PoW・PoS議論まとめ2

大石氏 BUの議論にも通じるんだけど、送金機能の価値でいったら、プライベートチェーンなVISAの方が早くてコストも安いものが作れると思う。
だからBTCは価値貯蔵の意味合いが大事だと思うのが私の意見。
(BUは逆に送金機能が大事だということのようで意見が対立している)

PoW・PoS議論まとめ3

大石氏 しかし送金機能というのは、プライベートやPoSを使えばPoWのような莫大な無駄をしなくても実現できて十分実用的。
なのでそちらの方が優れているかというと、それだけだと、価値の貯蔵手段としての役割を提供できないのでは?

PoW・PoS議論まとめ4

大石氏 一方でネットワークが提供する価値というのが高まる可能性もある。
証明とか、計算とか、ストレージ利用とか。
そのネットワークが発達し、その利用価値が高まるに連れ、その支払いに必要なトークンの価値は上がるだろう。

PoW・PoS議論まとめ5

大石氏  ゴールドの例で考えてみると、ゴールドその物がPoWでコストを払い発掘したコインという感じ。
ゴールドを送金する機能(現実世界ではゴールドを決済送金には使えないが)があるとすれば、それがネットワーク機能。
それがBTCでは一体になってるかんじ

PoW・PoS議論まとめ6

大石氏 一方法定通貨を考えてみると、誰もがこれは紙切れだと思っていて、それ自体には価値がないが、それがどこでも通用することによって価値幻想が生まれているというのが一般的な説明。
これは詐欺コインと何がちがうのだろうか?(そういう意味で法定通貨はScamだと私は真剣に思っている)

PoW・PoS議論まとめ7

大石氏 めっちゃ早くて手数料も安くて安全な決済ネットワークがあるとします。
これを利用するには僅かな手数料が必要とします(手数料が安くないと便利でないので)。
さて、この手数料というのが=ネットワーク内の通貨、だとすると、はたして、この通貨が値上がりするのは矛盾してないだろうか

PoW・PoS議論まとめ8

PoWとPoSについてのまとめ

ということで、ここまで整理されてくると、色々と見えてきます。

PoWは価値保存機能があるけれど、PoSにはそれがない。

PoSに対しても付加価値のあるものに関しては、そのネットワークが提供する機能の利用料の範囲では一定の価値があるのではないかということで合意していましたが、この「利用料の範囲」が重要です。

このPoSを使ったネットワークが提供する機能というのに価値を見出したとすると、コストが安いということが必須条件となります。

結局ネットワークが提供する機能を動かすトークンの価格が高騰して、それを動かすコストが高ければ、実際には採算が合わず誰にも使われません

みんなに使われるから価値があるということが前提になっているPoSを使ったシステムで、トークンの高騰によりコストが高い=みんなが使わないとなった場合には、PoWと違い価値の保存機能がないことから価値がないという結論になります。

最後に大石氏が指摘していますが、

「めっちゃ早くて手数料も安くて安全な決済ネットワークがあるとします。
これを利用するには僅かな手数料が必要とします(手数料が安くないと便利でないので)。
さて、この手数料というのが=ネットワーク内の通貨、だとすると、はたして、この通貨が値上がりするのは矛盾してないだろうか」

ここが価値保存機能を持っていないPoSの価格高騰との矛盾点ではないでしょうか?

そして、PoSでは無から有を作り出せるので、トークンの価格が上がりそれを動かすコストが一定以上高くなれば、また新しいものが無から生まれてきます。

結局トークンの価格が上がり、コストが高騰しているものは、大幅に下落するか、新しいものに取って代わられてしまいます。

ということで、結局二人が合意していた

「PoSに対しても付加価値のあるものに関しては、そのネットワークが提供する機能の利用料の範囲では、一定の価値がある。」

というこの一定の価値がいくらなの?ということになるのだと思います。

【追記】今後の仮想通貨投資戦略と私が実践しているFX投資術の紹介

今の仮想通貨市場は投機の時期なので、どんなコインでも価格が高騰していますが、実際に使われるようになった時に初めてその仮想通貨の価格が真っ当なのかどうかが明らかになってくるでしょう。

価値の保存機能を備えていないPoSコインでは、「みんなに使われるから価値がある」というネットワーク効果を価値の根拠としていることで、「トークンの高騰=コストの高騰」が「みんなに使われる」ことと逆相関にあることを押さえておく必要があります。

ですので、投機の時期から実需の時期に移行した際にPoSを採用しているコインの価格が下落する可能性は、PoWを採用しているコインと比べて相当リスクが大きいというのが、自分の見立てです。

このような観点からも、自分はPoWを採用しているビットコインやライトコインに強気な見方を持っています。

なぜライトコインに強気なのか、アルトコインの中でライトコインが有望だと考えているのか、その根拠についての記事や私が仮想通貨を購入する資金を得るために実践しているFXの投資術を別のサイトである「FXと暗号通貨を活用して億られた男の投資術」で公開しています。

宜しければ、是非こちらもご覧ください。

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以上、最後までお読み下さりありがとうございました。